
比婆地方の習わしと郷土料理を学ぶ比婆郷土料理研究会をほぼほぼ月に一回のペースで開催予定。
講師は、比婆郷土料理研究家”ひばん婆お富”こと小林富子さんです。
初回のテーマは『お盆の支度、ななかびの台所』
「ななかび」ってどんな日なの?
昔は旧暦の7月7日七夕の日(新暦では8月初旬ごろ、2014年は8月2日)を『ななかび』と呼んで、この日からお盆の準備を始めていました。
先祖を迎え入れる棚やお供えを乗せる祭壇を作り、神様が宿るための旗や幟を立て、お盆に帰ってきた先祖や旗や幟に宿った神様に農作業が無事に終わるように、また生活の安泰を祈ったとされています。※現在では、新暦8月7日を『ななかび』と呼んでいます。
お盆行事の初日としてお墓掃除や仏壇の仏具を磨いたそうです。
また、朝からお風呂をたてて(沸かして)7回入浴し、厄を流していました。こどもはお風呂の代わりに7回の水遊びでもよかったようです。
そして、七夕飾りとして青竹をたてて笹飾りを作ったり、お供え物として夏野菜で動物を作りました。
とにかくこの『ななかび』はすることがいっぱい、忙しい日なのです。でもこどもたちにとっては楽しい1日だったようです。
『ななかび』には、迎え団子やアカザ(畑に生える雑草・野草)の和え物を作って、仏壇にお供えしていました。アカザは雑草どころか、昔はごちそうだったんです!
その他にもアラメ(海藻)の煮つけ、ヒーグサ(イヌビユ)・スベリビィー(スベリヒユ)の和え物や汁の具にしたものが定番料理だったそうです。

この日の比婆郷土料理研究会では、
・迎え団子
・アカザの和え物
・スベリビィー(スベリヒユ)の和え物
・ナスざい
・蛍おこわ
を作りました。
比婆郷土料理研究会で作ったレシピにも登場した「夏に食べられる山菜&野草」についても詳しく教えてもらいました。
タキミズナ(ウワバミソウ)は茎を食べます。葉をむしって茎を茹で「蛍おこわ」に混ぜ込みました。ちなみにタキミズナには薬効があるといわれ、昔は生のまま細かく刻んで包丁の背でたたいてヌメリがでたものを打ち身や捻挫したところに塗っていたそうです。

『スベリビィー(スベリヒユ・
ウマビユ・ヒデリグサ)』
ぬめりのある野草で、初夏から秋いっぱい採れるが食べるのには、花が開く前の7~8月がよい。ビタミンCやミネラルが豊富で、食欲不振の夏バテによいといわれる。根を切り取ってさっと茹でたあと、水にさらし、辛子醤油や酢味噌・おひたしにして食べる。
夏野菜のお供え
お盆の期間中には、故人の霊魂がこの世とあの世を行き来するための乗り物としてきゅうりやなすで作る動物を作ってお供えします。
きゅうりは足の速い馬に見立てあの世から早く家に戻ってこられるように、またなすは歩みの遅い牛に見立て、たくさんのお供え物を積んでゆっくりあの世に帰ってもらうようにという願いがこめられているそうです。
きゅうり馬の尻尾はトウモロコシの毛、みょうが鶏の鶏冠はホウセンカの花弁を使います。
南天の葉で耳を作っても。
曲がったきゅうりやなすのほうが まっすぐなものより動物っぽく見えますね。
お供え用に、わざと曲がった野菜を畑から採ってきました。



by RIE KIKKAWA