
比婆地方の山々は、春から秋にかけていろいろな山の恵みを私たちにもたらしてくれます。
昔はどこの家庭でも山へ行って採取したきのこや野草など、『やまのもん』を日々のおかずやみそ汁の具にして食べていました。
特に畑に”あおいもん(野菜)”がない雪深い冬には、塩漬けや乾燥して保存した『やまのもん』は貴重な食材でした。
初夏に採れる野草のひとつ『クサギナ(クサギ)』の昔ながらのレシピを紹介します。
クサギは雑木林に生える落葉低木で、「臭木」と書くとおり、この木のそばを通るだけで服にも移ってしまうくらいの強いにおいを持っています。
昔、「軒先でクサギナを茹でていたら、頭上の軒に巣をしていたツバメのヒナたちが、その茹でる臭いにすっかり酔ってしまい、下にバタバタ落ちてきた」という話があったと、比婆郷土料理研究家の小林富子さんに教えてもらいました。
ちなみに、「クサギナ」は臭いがきついため、昔は屋外で茹でていたそうです。

生の葉はにおいが強いですが、茹でて乾燥させるとそのにおいはなくなり料理するととてもおいしくなります。
ほろ苦い味がお腹に良いといわれているそうです。比婆地方では、昔は田植えを手伝う早乙女や
男衆の「ひるめし」のごちそうでした。
クサギナは初夏ころ若葉を摘んで、さっと茹でてアク抜きをして固く絞ってから、日当たりのよいところで2日間ぐらい干し、それを保存します。
採りたてでなく、乾燥して1年くらいたったものの方がおいしいといわれています。
【クサギナと豆の炒り煮】
材料:
・クサギナ(乾燥したもの) 50g
・大豆 150g
・いりこ 20g
・水(または豆の茹で汁)2カップ
・酒(またはみりん)1カップ
・砂糖 大さじ3
・しょうゆ 大さじ3
・油 大さじ3
作り方:
1.クサギナは半日から1日かけてゆっくり水でもどす
2.沸騰したお湯でさっと茹でる(葉が固いときはお湯にタンサンをひとつまみ入れる)
3.しぼって3㎝くらいに刻む
4.大豆も1晩水に浸してから、茹でてやわらかくしておく
5.油をフライパンにひき、いりこ、大豆、クサギナの順に炒める
6. 水と酒を加えて煮る
7. 少しやわらかくなったら、 砂糖、しょうゆで味を調え、弱火で水気がなくなるまで煮る。
by RIE KIKKAWA
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