比婆郷土料理研究会『比婆地方の雛まつり』

 

2015年3月7日(土)、5回目の比婆郷土料理研究会を開催しました。今回のテーマは「桃の節句と春の訪れ」です。今回も、ひばん婆お富こと、ひば郷土料理研究家の小林富子さんにひな節句の料理を教えてもらいました。比婆地方には、旧暦の3月3日(2015年4月21日)に桃の節句をお祝いする地域が今でも多くあります。
   

 

 比婆地方(広島県北東部エリア /庄原市)で桃の節句といえば、「混ぜめし」と呼ばれる”寿司めし”が欠かせないものだったそうです。混ぜめしを「押しずし」にしたり、「桃の花ずし」にして、彩り豊かなひな節句の”ごっつぉ(ごちそう)をつくりました。
 

なかでも、どえりゃあごっつぉ(ものすごいごちそう)だったのが「はまぐりずし」。卵をたくさん使う「はまぐりずし」は、おめでたい時の大変なごちそうだったようです。
 

家族で食べる時は「混ぜめし」(ちらしずしのこと)と呼び、お客様にふるまう時は残った具を寿司めしの上に彩りとしてのせて「ばらずし」と呼びました。


昔から彩りには、〆(しめ)サバ、卵焼き、さんしょうの葉を用いていました。今回彩りに使ったのは、〆サバ、錦糸卵、広島菜の花、菜の花。春っぽいです。

教わったのは

 

 ・押しずし
 ・桃の花ずし
 ・はまぐりずし
 ・ほとぎ 

 ・フキのとうみそ
 ・フキのとうの春巻き    の全6品

 


松、梅、扇の形にくり抜かれた木型で形をつくる「押しずし」。上には、なびゃあ切り(ななめ切り)にした〆サバや錦糸卵を飾りました。

 

それから、「桃の花ずし」は、でんぶ(赤い鯛のそぼろ)を混ぜた寿司めしを焼きのりで巻いて、うっすら紅色の花びらを作り、花の形に並べます。花の芯は、錦糸卵と広島菜の花、菜の花で飾りました。



そして、「はまぐりずし」は、丸く焼いた薄焼き卵で寿司めしを扇状に包んではまぐりの形にします。昔はどこの家庭にもあった火箸(火鉢やいろりで使う鉄の箸)を熱して貝の模様の焼き印をつけていました。

 

最近では、火箸が家庭にないので代わりに鉄の串(バーべーキュー串)を使うといいそうです。


比婆地方の寿司めしは、しっかり甘めなのが特徴。しっかりした味で、冷めてもおいしいです。
 

桃の節句に欠かせない郷土のお菓子「ほとぎ」

桃の節句のお菓子「ほとぎ」も教わりました。

 

ほとぎは、「伊勢物語」に”涙を落としてほとびにけり”と書かれている古語で、「ほとびる」「ほとびかす」は水でぬらしてやわらかくするという意味で、これがほとぎと言われる由来だそう。
煎り米などの干したものを水でやわらかくして、それを炒って砂糖をまぶしたものを「ほとぎ」といいました。


今回のレシピのほとぎは、固めに蒸したもち米をいったん干し、それを油であげたものとあられ、青のり粉を混ぜ、砂糖やしょうがなどを煮詰めた飴をからめて丸く固めてつくります。
ほとぎは、桃の節句には必ず作ったお菓子だそうです。


昔ながらのほとぎのレシピも合わせて紹介してもらいました。ただ、昔ながらのレシピで作るほとぎはものすごく堅いらしく、そこまで堅くならないようにしたのが今回のレシピなのです。

 

そして、暖かくなると芽吹く野の味「ふきのとう」。

ふきのとうみそは、茹でたふきのとうに砂糖や味噌を加えて火にかけ、練って作ります。ふきのとうの香りがして、この時期限定の春の味です。


節句に行事食を作り、お祝いしながら味わうということは、「食」で季節の移り変わりを実感し、また自然の豊かさを感じることができる贅沢な時間です。

 

行事食は、これからもずっと守り伝えていきたい伝統の味ですね。


※2015年(平成27年)の東城まちなみ春まつり~旧暦雛まつり(広島県庄原市東城町)は、旧暦の3月3日に合わせ、4月17日(金)~21日(火)に開催されます!

 

by RIE KIKKAWA