初夏を感じる野鳥「キョッキョキョキョキョ!」


このところ毎日のようにさとやまに響き渡る「キョッキョキョキョキョ」という、野鳥のさえずり。またまた、山歩きガイド修行中の井村光江さんにそのさえずりを聞いてもらうことに・・。

すると「これ、ホトトギスです。」と即答! なるほど、「鳴かぬなら・・・」の、あのホトトギスかあ。


戦国武将の性格を表す例えに出てくるほど有名な野鳥にも関わらず、なぜかなんとな~く「ウグイス」と勘違いしてました。(笑)

でも調べると、この「ホトトギス」と「ウグイス」には、実は切っても切れない深すぎる関係があったのです。


とその前に、まずは家の周りの林で歌うホトトギスの鳴き声をどうぞ・・・。

 

【ホトトギス】

夏の到来を告げる代表的な渡り鳥。カッコウ目/カッコウ科。

平地から山地の高原、草地、林などの環境を好む。一羽で生活するものが多い。繁殖期のオスの鳴き声は「キョッキョキョキョキョ」と何度も繰り返す。


大きさは28cmぐらい。雌雄同色でカッコウ、ツツドリに比べて小型。成鳥の上面は灰黒色、喉から胸上部は灰白色。腹部は白く、わき腹に灰黒色の横斑が11本くらいあるが、静止時には7本くらいしか見えない。メスには上面全体が赤茶色の赤色型の個体もいる。

托卵性で、主にウグイスに托卵して育雛させる。




ここで出てきた聞きなれない言葉「托卵たくらん」。「托卵」とは、卵の世話を他の個体に托する動物の習性のことをいいます。自分で卵を抱かないばかりか子育ていっさいを他の鳥に任せるという意味。

 

つまり、ホトトギスは、ウグイスに子育てをさせているということなのです。

 

 


じゃあホトトギスは、どのやってウグイスに子育ていっさいをさせるの・・・?


その答えは、ホラーのような恐ろしい真実?それとも野生の神秘?いやいやそれは自然界の共存共生?とでもいうべきものなのか・・・。



ホトトギスは繁殖期になると、ウグイスの親が巣を離れた隙を狙ってウグイスの巣に近づき、卵を1~数個、巣の外に捨ててしまいます。そして、代わりにちゃっかりウグイスの巣に自分(ホトトギス)の卵を産んで、さっさと飛び去ります。

 

ホトトギスの卵は、ウグイスの卵によく似ているので、巣に戻ってきたウグイスの親はまったく気づかず、そのまま卵を抱き続けるのです。


ウグイスの巣に卵を産むだけでなく、数合わせまでするとはなんてずる賢い!


そして、やってくる孵化のとき。

 

ホトトギスの雛は、まわりのウグイスの雛よりほんの数日だけ早く孵化するそうです。

ウグイスより一足早く孵化したホトトギスの雛は、驚くことに、まだ孵化していないウグイスの卵を全部巣の外に押し出してしまうのです!

 

 

そしてその結果、親ウグイスは、唯一残った雛(実はホトトギス!)に、せっせと餌を運び、子育てをするというわけです。

 

それはまさに、親ウグイスの愛情を一身に受けて育つ、雛ホトトギス。

 

 

 なんとも不思議なこの習性。種をつなぐことの複雑な関係性や動物たちの本能に従う行動など、自然界のオキテからはいろいろなことを考えさせられてしまいますね。


さとやまの動物、恐るべし!



参考文献:『山溪ハンディ図鑑7 日本の野鳥 増補改訂新版』叶内拓哉・安部直哉・上田秀雄 株式会社山と溪谷社 2011年



by RIE KIKKAWA