海を越えてやって来る、旅する蝶『アサギマダラ』

 

「夏にはアサギマダラがやって来るよ。」と知り合いに教わり、比婆山連峰の竜王山周辺(広島県庄原市)に行ってみると・・・、ひらひらと舞う数匹のきれいな蝶をあちこちで発見!

 

「アサギマダラ」です。アサギマダラは、南の島から海を渡ってやって来る”渡りの蝶”。

 

蝶が海を越える、というだけでも驚きですが、その移動距離が凄すぎる!

 

記録されているその移動距離は、驚異の2,000km超え!



アサギマダラは、秋が近づくと群れになって南に向かって飛び立ちます。はるか沖縄や八重山諸島、台湾にまで海を越えて飛んでいくそうです。

今は、旅立ちに備えてひたすら蜜を吸っていました。


【アサギマダラ Parantica sita niphonica

 

タテハチョウ科マダラチョウ亜科に属し、前羽が4~6cmほどの大きさで、羽を広げると10cm前後になる。台湾から北海道にかけてのエリアを春に北上、秋に南下する。

 

アサギマダラの寿命は、羽化後4~5か月。

 

その間で2,000kmも移動するのだから、一生のうちのほとんどを移動することに費やしているような気が・・・。


ただ、やみくもに飛んで移動してるわけじゃないらしい。

実は、台風を利用して飛んだり、雨が降る前に一気に移動したりと、しっかり気象を読みながら移動しているようです。


鳥などに捕食されることがほとんどないらしい。

それは、体内に毒を持っているからで、この毒は、幼虫のときに食べるガガイモ科のキジョランの葉や、成虫になって吸うキク科のフジバカマなどの蜜に含まれるピロリジジンアルカロイドが体内に蓄積されたものだとされているそうです。


海を越えてやっとたどり着くアサギマダラの目的の地が、私たちの住んでいるすぐ近くにある、という事実。

 

身近な自然の懐の大きさと大切さをあらためて感じた「アサギマダラ」との出会いでした。


 



※比婆道後帝釈国定公園内での昆虫・植物の採取は禁じられています。


by RIE KIKKAWA

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