ぼにばなの丘に咲く、原種のヒゴタイの花


毎年8月終わりころ、この季節になると訪れたくなる場所があります。

広島県庄原市比和町三河内(ひわちょうみつがいち)にある「ぼにばなの丘」に咲くヒゴタイの花が見ごろを迎えています。このヒゴタイは環境省レッドリストの絶滅危惧Ⅱ類に分類される希少植物のひとつ。


 

そんな希少植物ヒゴタイを比和町では「盆花(ぼんばな)」→「ぼにばな」と親しみを込めて呼んでいます。


 ここ三河内では、昔からごく普通に「盆花(ぼんなば)」としてオミナエシやワレモコウなどと一緒にお墓に手向けていました。どこにでもある野の花だったのです。

 

庄原(広島県庄原市)で地域の人たちによって守られている他の希少植物「セツブンソウ」「フクジュソウ」と同様に、草刈りをしないと数をだんだん減らしてしまいます。


時代とともに農作業の機械化や化学肥料の利用が増え、牛の放牧も減少。

それによって、手間のかかる草刈り仕事をする人がだんだんと減り、以前はどこにでも見られた野の花「ぼにばな」の数が激減していったのです。



地域の保存活動団体「ヒゴタイの会」が教えてくれた話によると、

絶滅しかけていたヒゴタイを研究していたある大学教授が三河内を訪れ、大変希少な原種の植物であると伝えたことがきっかけで、小学生が「地域の宝だ」と考え始めだしました。そして子供から大人が教わり、今の保存活動につながっていったそうです。

 

 

素晴らしい地域の輪が実を結んだ結果なのかもしれませんね。

 

 

現在、保存会による勉強会や交流会、草刈り作業が行われていることで、

ヒゴタイの貴重な原種が守られ、こうして私たちが花を愛めでることができています。


 

私たちがの訪れた2015年8月22日は、ぼにばなの丘がある慶雲寺(けいうんじ)で「お大師さん(おだいしさん)」が行われていました。毎年8月第4土曜日に行われるこの日のために、地域の方がお大師様を掃除し、ぼにばなが手向けてあります。これからもずっと守り続けてほしい三河内の素晴らしい光景ですね。 


 

ヒゴタイをぼにばなとよび親しみ、希少植物としてではなく地域の宝として身近な暮らしの中で守っていく・・・、そんな三河内の人たちの温かい人柄も、また素晴らしさの一つ。

 

カンナ残丘が残る美しい景観と一緒に楽しんでください。

 

 

 

 

Written by MITSUE IMURA/Photos taken by RIE KIKKAWA

 

 

 

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