紅葉の帝釈峡へ。


例年より少しだけ早く紅葉の見ごろを迎えていると聞いて、帝釈峡(広島県庄原市東城町)へ。

紅葉といえば、毎年気になるポイントのひとつです。


帝釈峡は1923年(大正12年)、当時の内務省から史跡名勝「帝釈川の谷」として国の名勝地に指定されるなど、古くから自然の美しさで有名な土地。

さらに、1963年に比婆山連峰と合わせて「比婆・道後・帝釈国定公園」として国定公園に指定されました。


遊覧船にのって、神竜湖からのんびり溪谷の紅葉を楽しむことができます。


この神竜湖は、大正8年~13年に建設されたダム湖です。


帝釈峡は、石灰岩の台地が帝釈川の流れによって少しずつ削り取られてできた約16㎞の深い溪谷です。その深さは20~30mですが、場所によっては100~150mもの深さがあるそうです。


南北に長い帝釈峡は、巨大な天然岩の橋「雄橋おんばし」がある「上帝釈峡エリア」と紅葉で有名な神竜湖周辺の「下帝釈峡エリア」があります。


正確には、神竜湖ダムの堰堤えんていを境に、堰堤より上流を「上帝釈峡」、下流を「下帝釈峡」と呼んで区分しているようです。



帝釈峡やその周辺地域に人間が住みついたのは、旧石器時代までさかのぼります。ここは約2万年以上も前から人が住んでいるエリアなのです!

 

1961年(昭和36年)に馬渡岩陰遺跡が発見された後、帝釈峡一帯で、20数か所の遺跡が次々発見されました。

 

ちなみに、帝釈峡の名前の由来は、907年(和銅2年)元明天皇の勅命により行基菩薩が永明寺(上帝釈峡にあるお寺)に帝釈堂を祀ったとあり、これに由来すると言われています。

 

ほんとうに長いながい歴史があるんですね。


石灰岩地帯である帝釈峡には特有の大きな洞穴が多くあり、小さな穴は無数にあるといわれています。なので、これらの洞穴を利用して生きる動物、たとえばタヌキやアナグマ、コウモリ類などが多く生息しているそうです!

 

また、故赤木八寿人氏によると、1897年(明治30年)ごろまでは下帝釈峡エリアでカワウソの姿は珍しくなかったそうですが、毛皮が珍重されたため生息数が急激に減少し、1926年、鼻面岩下の砂地で足跡を観察したのが最後だったと証言されています。

カワウソがいたとは!

 

人にとっても、動物たちにとっても、大切に残していくべき自然がここにあります。



by RIE KIKKAWA



参考文献:『帝釈峡の自然 帝釈峡総合学術調査報告書』帝釈峡の自然刊行会 1988年

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