比婆郷土料理研究会『土用の丑の日』の郷土食

 

暑さ真っ盛りの2017年7月29日、比婆郷土料理研究家の小林富子さんに、土用の丑(うし)の日に食べていたという比婆地方の行事食を教わりました。

 

土用の丑の日とは「土用の期間におとずれる丑の日」のことで、今年の夏の土用の丑の日は2回。7月25日が「一の丑」、8月6日が「二の丑」でした。

 

この夏の土用の丑に食べるのは、もちろんウナギだと思っていたのですが・・・、

 

実は、比婆地方でウナギを食べていたのは町場(まちば)だけで、周辺の村部で食べられていたのは、むかし田んぼの水路などによく見かけたという「カワニナ」だったそうです。

 

カワニナを味噌汁にして、夏を乗り切るスタミナ食としていました。

 

小林さんによると、子供たちがカワニナ汁を食べるときには、カワニナの身をほじって(貝からとりだして)必ず最後まで食べるように親から言われていたそうです。

そうすれば、元気に夏を乗り切れると言われていたとか。

 

 

【カワニナ】

学名:Semisulcospira libertina カワニナ科に分類される巻貝の一種。

ゲンジボタルやヘイケボタルなどの水生ホタル幼虫の餌として知られている。

昔はよく田んぼの水路などで、見かけていたそう。

 

今では、田舎でも見つけるのが難しくなってきています。

参加したメンバーでも食べたことのない人がほとんど。

 

夏を乗り切る「カワニナ汁」。さて、どんな味なのかできあがりが楽しみです!

 

 

今回、ほかにも6品を教わりました。

 

・お盆にはかかせない「迎え団子」山からとってきた大きめの葉っぱにのせます。今回は葛の葉。

・ゆかりご飯むずび

・なすのそうめん煮しめ

・アカザのごまあえ

・きゅうりとなすのいりこ味噌煮

・スベリヒユの和え物       

 

ゆかりごはんは、昔はどこの家庭でも漬けていた自家製の梅干しを細かく刻んで、ご飯に混ぜ込みます。

しその葉も一緒に刻んで入れるのがポイントだそう。

 

梅干しを混ぜると、ご飯が傷みにくく、酸味が食欲をそそるので、暑い夏にはゆかりご飯はぴったりです!

 

 

それからきゅうりとなすのイリコ味噌煮。

夏の時期には、どこの畑でも大量にできてしまうきゅうりとなす・・・。

昔は、たくさん採れる夏野菜をたっぷり使って「イリコの味噌煮」をつくり、常備菜としていたそうです。

 

小林さんに曰く、5日以上保存がきくものは”保存食”、4日までは常備菜と呼んでいたそうです。

 

冷蔵庫がなく、台所の戸棚で料理をそのまま保管していた昔は、夏に料理を常備菜とすること自体難しかったのではないかと想像できます!

 

作り方は簡単!

イリコを低温の油でゆっくり揚げ、一旦取り出します。その揚げ油を使って2センチ角に切ったきゅうり、それから、しそとニラを炒め、最後に同じ大きさに切ったなすを加えてさらに炒め、味噌、砂糖、揚げたイリコを加えて味を調えます。

 

ご飯のすすむ1品で、夏野菜もたっぷりとれるのでおすすめです。

  

 

お盆といえば・・・、比婆郷土料理研究会では恒例の”牛と馬”も作りました。

 

昔は、お墓の前もしくは野外に盆棚(精霊棚)を作って、季節の野菜や果物をお供えしていました。そして8月13日には、きゅうりで馬を、15日にはなすで牛をつくって飾っていたそうです。

 

馬は、祖先の霊がこの世に早く帰れるよう足を長く、牛はゆっくりあの世にお帰りいただくよう足を短く作ります。

 

しっぽはトウモロコシのひげ・・・。それっぽい雰囲気がでてますね。

 

 

なぜか、並べてみることに・・・・。 牛と馬の大群・・・。

それぞれ個性がでます。

 

今回、小林さんでさえ、久しぶりに食べたという「カワニナ汁」。想像していたよりクセもないし、若干の苦みはあっても食べやすい! 年に1度だけの料理「カワニナ汁」。これぞ行事食ですね!

 

今回、比婆地方ならではの夏のスタミナ料理を味わえる貴重な機会となりました。

これも、生態系の豊かなさとやまがあってこそ。ありがたい!比婆のさとやま!!

 

 

 

                                                                                           

                                                                                                      by RIE KIKKAWA